■■■1日目■■■
バングラデシュのダッカに到着しました。バンコクからは飛行機で3時間足らず。しかし、到着するとやはり文化の違いを感じます。

タイは仏教文化ですが、バングラデシュはイスラム文化。しかも、丁度ラマダンの時期に重なっていることもあり、以前ダッカに来た時より、さらにイスラムの香りを感じます。空港を出た瞬間に見えてくる、たくさんの人、人、人!リキシャと車が混沌としている風景は、やはりダッカならでは。とてつもないエネルギーを感じます。

ホテルにチェックインした後、早速開発エリアであるボシュンドラを視察しました。ここは、ダッカの中心部からほど近いにも関わらず、これから開発の進むエリア。A地区からP地区まで順次開発されています。A~Dといった古いエリアは既に多くのコンドミニアムやオフィスビルが建ちあがり、価格も急騰しています。

F地区に建設中のコンドミニアムを見学しましたが、こちらのオーナーは日本人の起業家の方。昨年購入した土地に、現地のデベロッパーとレベニューシェア(完成時に土地と建物の価格比率で物件を按分する方法)で建設しているものです。6フロアあって、150平方メートルの1フロアを1200万タカ(約1600万円)で販売しています。

さらに奥のN地区にも行きましたが、このエリアはまだ何も建物の無い更地です。電気や水道は引かれていますが、まだ開発許可を得られていません。1カタ(約20坪)で300万タカ(約400万円)ですから、1000万円台前半でコンドミニアム建設に必要な最低限の土地を確保できます。

開発許可が得られていないということは、将来建設できないリスクがあるということです。しかし、もし開発許可が下りれば、その時点でリスクファクターが1つ減った分、価格は上昇するはずです。そして、その次にコンドミニアムを建てるとすると、今度はデベロッパーの完成リスクが存在します。これも、完成した時点で、リスクが減った分、また価格は上がるはずです。

ボシュンドラの不動産を見ていると、開発が終わったA~Dのようなエリアはリスクが低く、その代わり低リターン。N地区のような、まだ未知の部分があるエリアはリスクが高い分、大きなリターンの可能性があることがわかります。

開発許可が下りていて、デベロッパーの完成リスクが無く、テナントも決まっている。そんな物件は、利回りが低く、既に価格が高くなっていますからアップサイドは限られています。逆に、様々なリスクを持ったエリアの物件であれば、リスクファクターがクリアされる毎に、それが価格の上昇につながっていくのです。

投資とは、リスクとリターンのトレードオフであることが、よくわかります。

■■■2日目■■■
ダッカの2日目は、雨から始まりました。雨季ということで、覚悟はしていたのですが、予想を超える大雨。物件視察はグルシャンにあるコンドミニアムの室内からはじめました。グルシャンはダッカの中心部の一等地。コンドミニアムの価格は急騰しています。

例えば、築10年の中古物件で広さが200平方メートルで、価格は3000万円弱です。造作はしっかりしており、将来の値上がりの可能性もありますが、日本の個人投資家でこれだけの金額をダッカ1カ所に投資できる人は、かなりの勇気と保有資産を兼ね備えた人と言えるでしょう。

カマルパラという新しく開発される予定のあるエリアを抜けて、午後からはアシュリアというダッカより郊外のエリアを視察しました。ここは、住宅地というより工場用地で、日本のアパレルメーカーも続々進出してきている地域です。土地を購入する場合、500万円前後から可能です(広さは、5カタ=約100坪)。バングラデシュ人も個人で購入している人が多く、地元でも期待が高まっていることがわかります。5年~10年スパンで投資できるなら、検討に値するエリアです。

来年には、政府の方針でダッカ市内にある工場はすべて、郊外への移転が義務付けられるそうです。そうなれば、アシュリアへの工場進出のスピードは加速します。また、これから電力供給が安定に向かうことも、アシュリアには追い風です。

アシュリアの帰り道、地元の人が採れたてのドリアンを持ってきてくれました。新鮮なドリアンは、濃厚な甘い香りがあって、果肉はトロリとして柔らかいマンゴーのような感触。フレッシュな味が、病み付きになって、食べ始めるともう止まりません。ここでしか食べられない、最高の味を堪能しました。

アシュリアの開発が進めば、ドリアン畑はきっと縫製工場に変わってしまいます。素晴らしい自然と、そこにいる素朴で純粋な人は、無くなってしまうかもしれません。経済成長によって得られる、物質的な豊かさと引き換えに、消えてしまう大切なものもある。そんな現実を思いました。

しかし、自分たちだけが経済的な繁栄を謳歌し、新興国の人には成長は悪だと押し付けるのは、先進国の人間のエゴイズムです。得られるものと、それによって失ってしまうもの。2つのバランスを考えて、現実的なソリューションを考えていかなければならないと思いました。

ドリアン畑が無くなってしまうのは残念ですが、現実を見ればバングラデシュの人に必要なのは、経済成長とそれに伴う劣悪な生活環境の改善です。世界の投資家がバングラデシュに投資をし、それが経済を動かす力になって、現地の人たちの生活を変えていく。

投資とは、自分の資産を増やすためだけにやるのではなく、そこに大義があって、周囲の人を幸せにしなければ、長期的には成功しない。バングラデシュ投資には、その大義がある。短い時間でしたが、現地を自分の目で見て、そんな確信を持ちました。

■■■バングラデシュのスタディツアーを終えて■■■
バングラデシュのスタディ・ツアーの参加者は17名。それに、スペシャルゲストとして、既にダッカに複数の不動産を保有する日本人投資家の方にも同行していただきました。現地のアレンジをお願いしたクリエイティブのカマルさんも入れて、20名を超える盛況でした。

海外不動産投資は現地視察が大切というのが私の持論ですが、スタディ・ツアーを利用して行うと更にメリットが大きいと今回実感しました。その理由は、3つあります。

1つ目の理由は、効率性です。スタディ・ツアーで何回か実績のある場所であれば、毎回改善を重ね、無駄のないプランに練り上げられています。食事もみんなで行けば、たくさんの料理をシェアして味わえます。また、視察場所も個人では入れないような場所にも、団体ということで入れたりします。さらに、現地で案内してくれる人たちも大人数で来てくれた方が、セールスにつながる可能性が高いので、丁寧に接客してくれることもあります。個人で視察して、しつこくセールスされると気分が悪いものですが、スタディ・ツアーなら、私も同行していますので、そんなことはありません。

個人で行く方が自由が効きそうですが、特に新興国では、個人行動というのは効率が悪いものです。自分でガイドや車の手配をして、スケジュールを立てて行動するのは、何回も訪問して現地の事情を熟知した人以外は逆に非効率で高コストになりがちなのです。

2つ目の理由は、人脈の構築です。資産デザイン研究所のスタディ・ツアーは現地で、私が完全同行します。また、私だけでは無く、現地のスペシャリストの方にもアレンジと同行をお願いしています。さらに、今回のように現地で既に成功している日本人投資家の方がスペシャルゲストとしてジョインしたり、人脈を広げるチャンスをできるだけ大きくできるように工夫しています。1人で視察していては、ここまでの人脈を築くことは難しいと思います。

そして3つ目の理由は、参加者とのネットワークです。幸いなことに、私が企画しているスタディ・ツアーは、毎回メンバーに恵まれています。一人で参加される方が大半ですが、ツアーの間に年齢や仕事に関係なく、ユニークで楽しい方ばかりなので、自然に仲良くなって、お互いに情報交換を始めるようになります。今回の参加者も、Facebookで早速「バングラデシュ投資研究会」というグループを作り、ツアーが終わってからも情報交換を続けることになりました。

☆現在募集中のツアーはこちら(2015年3月13日出発タイ(バンコク、シラチャ))
http://asset-design.jp/news/?cat=8