■■■1日目■■■
8月31日からフィリピンのマニラに来ています。行ったことが無い人にフィリピンのイメージを聞くと、大抵は「怖い」「危ない」「貧しい」といった声が聞こえてきます。しかし、いつものことながら新興国の変化のスピードは速く、日本に入ってくる情報と現地で実際に見ることの間にはかなりのギャップがあります。

マニラの空港からマカティと呼ばれる丸の内と銀座を合わせたようなエリアまで車で移動しました。確かに、途中の道沿いにはスラム街のようなエリアもありました。しかし、マカティ地区の高層ビル群は先進国レベル。貧富の差がかなりあるように見えました。

マカティ地区は治安も良く、マクドナルドやスタバのような海外ブランドのお店もあって、夜でもそんなに危険を感じずに出歩けるようでした。

ホテルも快適で快適な街なのですが、唯一の不満が食事です。どうやらフィリピン人は甘い味付けが好みのようで、ハンバーグでもソーセージでも魚でもすべてソースが甘いのです。フィリピンはマクドナルドがシェア一位になれない国として有名らしいですが、それもジョリービーというローカルファストフードチェーンがフィリピン人の好みをしっかり掴んでいるからだと言います。

ちなみにジョリービーのグループにはMang InasalというチキンBBQのお店もあって、ここもご飯のお代わりし放題ということで急激に店舗数が増えているそうです。どちらもかなり甘そうです。

初日は昼過ぎに到着。午後3時から夜の10時過ぎまで精力的に不動産を視察しました。センチュリープロパティーズという大手の不動産ディベロッパーの開発しているセンチュリーシティ、そして少し離れた川岸に建つアクアというプロジェクトがターゲットです。

このディベロッパーは海外の有名ブランドとの提携を得意とし、センチュリーシティには、ベルサーチがインテリアデザインを担当するミラノ、トランプタワー、さらにアルマーニがデザインする超高級コンドミニアムも登場します。アクアもインテリアをミッソーニやフィリップ・スタルクが担当し、付加価値を付けています。

フィリピンのコンドミニアムは価格も比較的低く、30平方メートル程度の物件なら、10万ドル(約1000万円)を切る価格で手に入ります。ローン金利も5~6%で外国人向けに50%までノンリコースで可能ということですから、最低投資金額はさらに下がります。

写真(中)はすでに完成して入居が始まっているグラマシーというセンチュリーシティの物件ですが、ロビーは六本木ヒルズにある某ホテルのような広々とした空間。プールやジム、パーティルームなどのファシリティも素晴らしく、クオリティは日本のマンションより高く、自分が住みたいと思うくらいです。こちらはほぼ完売ですが、40平方メートルで16万ドル(約1600万円)ほど。グロスの利回りは7%以上取れそうです。

夕方からはセンチュリープロパティのオフィスも見学し、会社の概要や体制を確認。「何を買うか」だけではなく「誰と付き合うか」もチェックしました。

まだほんの数時間滞在しただけですが、マニラの不動産投資の他の都市との違いが何となく見えてきました。2日目はアヤラというもう1つの大手ディベロッパーの物件を集中して見学します。

マレーシア、ベトナム、カンボジア、フィリピン・・・新興国に行く度に、現地の人の明るく前向きな生き方にエネルギーをもらえます。数日滞在しているだけの外国人には見えない問題や悩みもたくさんあるのでしょうが、成長という大きな流れがそれを超越してしまっているように思えます。日本にも高度経済成長という時代があったのだな、と初めての国でもなぜかノスタルジックになってしまう。

楽しみながら、視察の成果を出せるよう頑張ります!

■■■2日目■■■
フィリピンの2日目も不動産視察三昧でした。前日はセンチュリープロパティーズというブランド提携で差別化をしているディベロッパーの物件を見学しましたが、この日はアヤラランドというフィリピンナンバーワンの会社の物件です。

マカティの中心部にはアヤラ通りという大きな通りがあるように、マニラのビジネスエリアの土地はほとんどこのアヤラグループが開発してきました。日本で言えば、丸の内を開発した三菱地所のような会社と考えるとわかりやすいと思います。

マカティ中心部は、シンガポールのオーチャード通りのような整然とした広い道が広がり、雑然とした市街とは別の国のような風景になっています。中心部の物件は、50平方メートルのワンベッドルームで価格は1000万円台の前半です。グロスの利回りでは7%~10%近く期待できそうです。ここ数年で上昇していますが、絶対価格はまだ日本に比べるとはるかに低い金額です。

マカティの中心部で見学した物件の中で、今回9月に販売開始する物件を先行予約できるものを特別に紹介してもらえました。周囲の環境も良く、周辺の空室率は5%以下というバランスが良く、なかなか手に入らない条件の物件です。近日売り出される予定の1棟の中から広さや階数、間取り、予算などを考えて、希望を伝え、仮押さえできることになりました。人気の物件なので確実に購入できるかわかりませんが、この物件はツアー参加者の中でも圧倒的人気でした。

やはり海外不動産マーケットは歪んでいます。

今回も再認識しましたが、不動産はすべてが一点ものなので、ご縁が大切です。事前に準備をしておいて、このような物件に出合ったら決断できるように「素振り」を繰り返しておくことがチャンスを逃さないために大切なのです。

視察案件については大きな収穫があったのですが、甘すぎると書いたフィリピンの食事についても、美味しいお店に出合いました。

午後から視察をしたグローバルシティという少し離れた場所でアヤラグループが開発しているエリアがあります。日本で例えれば、三菱地所が開発している横浜みなとみらいのようなイメージです(ただし、マカティ中心部からは車で15分程度)。

ショッピングエリアにある「Abe」という日本人の名前のようなレストランのフィリピンの地方料理のお店ですが、これが絶品でした。ツナ、羊、牛肉などを使った料理の味付けはスパイシーで甘みはあまりなく、ご飯と一緒に食べると止まりません。写真(右・上段)はツナに軽く火を入れて酸味を効かせた料理ですが、さっぱりして深みのある味わいでした。お腹一杯になるくらい食べて、料金は1人1千円。日本の3分の1くらいの感覚です。

さらに夜は、参加者全員でスペイン料理のお店に。こちらも東京で食べるのより美味しいレベルの高いスペイン料理でした。

素晴らしい物件と素晴らしい料理に出合え、マニラの2日目は充実した一日になりました。3日目の午後には帰国という慌ただしいスケジュールですが、密度の濃い内容で効率的に当初の目的を果たすことができたと思います。

■■■フィリピンのスタディツアーを終えて■■■
フィリピンマニラから昨晩無事に帰国しました。6人の参加者と一緒に行ったスタディ・ツアーですが、私はお買い物をしませんでした(笑)。素晴らしい物件が偶然販売される直前というベストタイミングで、特別に紹介してもらうことができたのですが、マレーシアとカンボジアの物件の手続に忙殺されているため、今回はグッとこらえました。しかし、参加者にとっても同じように魅力的に見える物件らしく、かなり多くの方が購入の予約手続をして帰国しました。

1000万円前後で購入でき、ローンも50%借入可能ということで、投資金額が限定されている。その割に、物件のロケーションがマニラのマカティ中心部という立地の良さが魅力です。

マレーシア、カンボジア、に続く新興国の不動産投資視察ツアーということで、投資のヒントをたくさん見つけることができました。

1.新興国不動産投資は首都の一等地から始める
新興国不動産はやはり首都を最初のターゲットにすべきです。マレーシアならクアラルンプール、カンボジアならプノンペン、タイならバンコク、そしてフィリピンならマニラです。

その中でも街の中心部。東京で言えば、青山や赤坂、六本木のような場所を選ぶ方が下落リスクが小さいと思います。

2.新興国不動産投資はデベロッパー選びが重要
物件選びで重要なのは、個別の物件の前にまずデベロッパー選びだと思います。日本のマンションでも三菱地所を頂点とするヒエラルキーがあるように、「誰が作ったか」をまずチェックすることが重要だと思います。

3.新興国不動産投資は信頼できるアドバイザーをつける
新興国の投資には不確実なことがたくさんあります。買い手の側に立ってアドバイスしてもらえる人がいれば、安心です。価格の交渉やどの部屋にするのか、ローンの手続、送金、テナント付け・・・わからない時に相談できるパートナーは必須です。

4.新興国不動産投資は英語が話せなくても問題ない
海外不動産投資というと「英語ができないから無理」という方がいますが、今回のツアーに参加した人たちも全員が流暢に英語を話せる訳ではありませんでした。でも、問題なく購入できています。わからないことを曖昧にせず、何度でも聞く。日本人は聞く力や読む力は学校でかなりやっているので、英語が出来ないといっても、実は話す力以外のレベルは高いのです。

5.新興国不動産投資は長期で固定できる資金で行う
新興国だけではなく、不動産投資一般に当てはまることですが、投資期間は最低でも5年は必要です。その間、資金は固定されますから、長期で投資に回せる資金を使ってやるべきです。

投資にはリスクが伴いますから、新興国不動産投資で絶対儲かるとは言いません。一方で、金森重樹さんが言うように「リスクを取らない人に、リターンを語る資格はない」し、「リスクを負う覚悟のない人間は、貧乏人でいることに甘んじて、じっと我慢してください」というのも現実です。

「チャンスは前髪でつかめ」とも言います。現地に行って、経済の状況を見て、実際に物件を見学すると、多くの人の見方は変わります。日本で入手できる情報と現地でインプットできる情報にはまだかなりのギャップがあるからです。

5年後に笑うのは誰か。目先ではなく遠い未来を見越して今やるべきことを考えてください。