■■■オースティン(1)■■■
サンフランシスコ経由で、テキサスのオースティンに到着しました。ユナイテッド航空での15時間の長距離移動はさすがにキツイです。
昨年の12月以来5か月ぶりですが、テキサスとは日本人にとっては近くて遠い場所です。アメリカの州の中では知名度の高い場所だとは思いますが、イメージは荒野のカウボーイ。しかし、実際に行ってみるとごく普通のアメリカの都市です。州都であるオースティンはヒューストンやダラスに比べ地味な街ですが、コンパクトにまとまったチャーミングな場所だと思います。
現地時間の夕方5時に到着。空港に来てくれた、芝山さんとフランクが調達したレンタカー(12人乗り)で早速現地を見に行きました。前回来てからわずか半年足らずの間に、物件によっては20%以上値上がりしたものもあるようで、テキサスの住宅事情は需給のひっ迫でかなり熱くなっているようです。
写真(左)のような、古いアパートメント(恐らく築30年以上)をリノベーションして、貸し出すという手法がいたるところで行われており、空室率も2%以下と安定した収益物件としてワークしています。利回りもグロスで10%以上出るものが珍しくなく、投資条件としてはかなり良いと思いました。投資金額も10万ドル(1000万円)以下から見つかります。
テキサスはシエールガスの恩恵を強く受けていますが、それ以外にも税金の安さからIT系の企業などがオフィスを次々に移転させており、人口の増加も全米でトップクラスになっています。
街中を車で走っていても、いたるところで工事が行われ、「先進国の中の新興国」といった雰囲気で成長のエネルギーを感じました。
この日はもう夕方だったので、投資可能な物件を2つ見学し、ホテルにチェックイン。夕食はテックスメックス料理を食べました。湖畔にあるオシャレなお店で、苦しくなるくらい食べて、飲んで、チップを入れても一人3000円足らず。1ドル100円を超えたとはいえ、テキサスはお財布にやさしいリーズナブルな街です。
今日(22日)もオースティンのテキサス大学の周辺の物件を中心に見学を続けます。それにしても、株高、不動産高が世界中に広がってきているのを実感します。
■■■オースティン(2)■■■
テキサスの2日目です。朝9時から夕方5時まで、物件9件を精力的に見学。さらに管理会社を訪問して、購入後のマネジメントの体制について確認しました。
アメリカの不動産業界は、ITとの結びつきが強く、多くの会社でレポーティング業務を電子化しています。
今回話を聞いたオースティンの管理会社もWeb上で不動産の管理状況を把握できるようにシステムを作り、遠隔地であっても問題なくマネジメントしてもらえるような体制になっていました。またテナント付けも管理会社の重要な役割になりますが、その点も具体的な方法を教えてもらうことができ安心できました。
物件は街の中心部にあるコンドミニアムからテキサス大学周辺のアパート、さらには郊外の物件まで幅広く見学しました。写真の物件は築年数の浅い学生向けの大規模物件ですが、ロケーションと抜群の施設内容が人気で空室はほとんどない状況のようでした。
オースティンの場合、テキサス大学オースティン校というのが、市の中心部にあり、5万人の学生が通うキャンパスがあるという特徴があります。キャンパスの西側には学生専用の住居が集中しており、このエリアの賃貸需要は極めて安定しています。毎年8月1日から1年間の賃貸契約というのが、通常の学生の賃貸契約らしいのですが、人気の物件になると半年以上前から入居希望が入ってくるようです。空室はテナントが入れ替わる数日間だけ。常に将来の賃貸者が確保できるというのは、投資家から見ればとても安心できる状態だと思いました。
海外不動産は事前の下調べも重要ですが、やはり現地にいかないと見えないことがたくさんあります。物件を見ることも重要ですが、管理会社のマネジメント能力やミクロの賃貸環境の把握など、現地に行って初めてわかることも多いのです。
オースティンにはかなり特殊な不動産マーケットがあることがわかったことが、今回の現地視察の大きな収穫でした。
物件見学後は郊外にあるテキサスバーベキューの聖地と言われるお店で炭火焼のステーキを味わいました。のんびりとした雰囲気で美味しい料理と音楽まで楽しめる素敵なお店。
投資で重要なことは投資物件に惚れないこと、とよく言われます。しかし、フレンドリーな人たち、緑の多い爽やかな環境、そしてアメリカとは思えない豊かな食。この街が段々好きになってきて、離れるのが寂しくなってきました。
■■■コーパス・クリスティ■■■
テキサスの最終日は、南にある港町のコーパス・クリスティでした。シエールガスの精油や輸出の拠点として、最も注目されている街です。朝から街の中心部を見学したのですが、小さな田舎街が急激に変貌しているのがよくわかります。
街の中心部のあちこちで大規模な再開発が進んでいて、5か月前に来たときより、新しいお店が増えて活況を呈していることがわかります。
開発はまだまだこれからですが、次回来るときにはすっかりイメージが変わっている。そんな予感がしました。
コーパス・クリスティの不動産はオースティンに比べるとさらに割安です。街の大きさが違うので単純に比較はできませんが、価格が安いのに空室率が低く、利回りがオースティン以上に高いのが特徴です。
多くの物件が10%以上のグロス利回り(家賃を購入価格で割った単純な粗利)。一戸建てが10万ドル以下から購入可能です。シエールリスクがあるとはいえ、投資金額としては海外不動産を初めて購入する人にも無理のないレベルだと言えます。
さらに最近は銀行も外国人投資家に対して、ローンを出すところも出てきています。頭金40%程度でローンを付ければ、投資金額としては400万円程度でも可能になってきました。
テキサスの中でも、最も成長の可能性が高いエリア。不動産価格の上昇によって、アップサイドが大きく狙える場所だと思いますが、将来の賃貸マーケットの動きによっては、リスクもその分大きいと言えます。
しかし、新築でこれからテナントを探すのではなく、既に地元の住民が住んでおり、安定した賃貸実績があります。また家賃も上昇傾向、空室率も1ケタの前半という恵まれた環境の投資はそれほど簡単に見つかる訳ではありません。
大口の投資家はまだテキサスの中でも大都市に集中しており、コーパス・クリスティは、出遅れている分、歪みがあると考えることもできます。
金曜日の夜は、テキサスのステーキを12人で堪能して、最後までテキサスを満喫しました。
さて、日本に帰ったら動きはじめたいと思います。
■■■総括■■■
コーパス・クリスティからヒューストンを経由して成田に戻りました。4泊6日でテキサスの不動産見学。オースティン、サンマルコス、ロックハート、コーパス・クリスティの4都市で20件以上こなしてきました。10万ドル以下の物件から、2千万ドル以上の大規模案件まで。さすがにここまで見ればもうお腹一杯です。
カリフォルニアよりは価格の安いテキサスの不動産ですが、オースティンのような都市圏は値上がりが進んでおり、徐々に手が届きにくくなってきています。10万ドル前後での物件というと、今回の訪問地で言えば、サンマルコス、ロックハート、コーパス・クリスティの3都市の方が良いと思いました。しかし、これらの都市もいずれ価格が上昇すれば、買いにくくなっていく可能性もあります。
投資は歪みを見つければ、そこにオポチュニティがあると何回も書いてきましたが、今回のテキサスの不動産に、まさにそれを感じました。これまで投資家の中心がアメリカ国内勢だったので、ニューヨークやカリフォルニアから出遅れていたマーケットだったのが、経済成長によって海外の投資家からも注目されるようになり、資金が流れ込んできているという状況です。国際的に放置されたマーケットがグローバルな尺度で投資判断されるようになってくると、価格は上がり、利回りは下がることになります。そのような歪みの修正過程にあるのではないかということです。
しかし未だに、日本の投資家の方に「不動産投資でテキサスに行く」というとほとんどの場合怪訝な顔をされます。ニューヨークやロスアンゼルスといった有名な都市に投資するのが、当たり前だと思っているからです。しかし、これらの都市は価格は上昇し、利回りも低く、現状での投資対象としての魅力はあまりありません。
今回もテキサスの不動産投資を自ら実践し、地元の不動産事情に精通している、芝山元さんに4日共同行していただき、案内してもらいました。現地の管理会社やブローカーも紹介してもらい、セレクトされた物件から歪みを実感することができました。
株式ほどではありませんが、不動産もスピードが命です。わずか5か月前に行った時とテキサスの不動産事情もかなり変わっていました。家賃は上がり、物件価格も上がり、投資物件の数も減っています。
「投資は慎重に」、でも「投資はスピード」。2つの矛盾する注意点をどうやってバランスさせるのか?それこそが投資家の成功のカギを握っているのです。
慎重になりすぎることは、チャンスを逃すことになり、結局リスクを高めてしまうこともあるのです。意味もなくダラダラ考えて、行動しないというのは避けるべきでしょう。